ICM 1/72 ポリカルポフ I-15 bis キット紹介                              トップページへ戻る
ICM 1/72 I-15 bis


パッケージ写真


 ソ連空軍のI-15戦闘機は1933年に開発された機体で、それまでの歴代ソ連機を継承する空冷エンジン装備の複葉機で、旋回性能を重視した大戦間の戦闘機としては標準的な設計となっています。
 このI-15の直後にソ連単葉引き込み脚のI-16を開発するのですが、当時としては革新的過ぎる設計に加えて操縦の難しい戦闘機だったため、保守的な従来型のI-15も並行して開発が継続され、1937年にI-15の改良型であるI-15bisが配備されました。I-15bisは、I-15で特徴的だったガル翼を廃止して通常型の上翼に戻し、エンジン出力を向上したタイプです。
 I-15とI-15bisはスペイン内戦や日中戦争、ノモンハン事変などで実戦に使用され、二次大戦の序盤でも最前線に配備されていましたが、多くは独ソ戦初期に消耗して新型機に更新されています。


 ICMのI-15は2000年前後の発売と思われます。I-15とI-15bisをキット化。ICMは大戦間の戦闘機の発売に意欲的で、ソ連機以外にも九七戦やHe51などを発売しています。


 キットのパーツ写真
 ライトグレーグレーの成型色でモールドされたランナーは一枚のみ。その枠の中にびっしりと細かいパーツがモールドされています。エンジン部分が細かく再現されているのはICMスタンダード。このパッケージは冬季仕様となっていますが、ランナーにはソリと通常の主脚の両方が付いています。あと、爆撃仕様の小型爆弾もセット。
 パーツ分割は1/72としては細かく、カウリング周りなどはプレートごとに分割され、垂直尾翼のラダーも別パーツになっています。。



 パーツ表面のUP。旧ソ連圏のキットで良くある、リアルな表現をしようとして技術が追いついていない、という感じのモールド。
 外板の段差や羽布部分の表現、リベットの表現などはかなり実機の雰囲気を落とし込んでいて一見の価値がありますが、仕上げが甘くモールドが歪んだり潰れている箇所も結構あります。同社のI-16と比べても少し荒い感じ。


 キャノピーはともかく小さいので無くさない様に注意。
 デカールは妙に細長いシートに印刷されていて、シンプルな機番と星マークのみ。ICMのデカールは硬くて貼りにくい印象があるので、別売デカールも用意した方がいいかも。





 キットパーツを仮組みしてみた所。ただ、上翼部はちょっと仮組みが困難なので外した状態で撮影しています。上翼を支える支柱はダボも無くイモ付けなので、金属線などで補強する必要があるかも。

 プロポーションはほぼI-15bisの外形を再現している様です。胴体がやや細い様な気もしますが問題にはならないでしょう。ICMキットは翼端やカウリングの縁などが薄く仕上がっている物が多く、飛行機らしい繊細さが良く表現されています。
  部品精度の方はあまり良くなく、バリがかなり多いので一つ一つのパーツを丁寧に仕上げないと部品がはまりません。国産キットの様にパチパチと組む事は困難なので、仮組みと修正を繰り返す作業が不可欠となります。

 ICMのI-15bisは旧ソ連圏キットらしく組み立てには難がありますが、モールドなどは非常に素晴らしく、きちんと仕上げれば精密なモデルになると思います。大戦間の機体をコレクションしている通なモデラーにはお勧めのキットです。