ICM 1/72 ポリカルポフ I-16 タイプ18 キット紹介                              トップページへ戻る
ICM 1/72 I-16 type18


パッケージ写真


 I-16は、単葉引き込み脚という第二次大戦で主流となる戦闘機のスタイルをいち早く確立し、1930年代後半から二次大戦中盤まで使用されたソ連の戦闘機です。
 日本だとノモンハン戦で九七式戦闘機にばたばた落とされた、、、、というのが定説の様に扱われてきましたが、実際にはI-16の高速にかなり苦戦したっぽいです。ノモンハンに限らず、日本の戦闘機パイロットは結構誇大に戦果を吹聴してしまう傾向があるみたいで、ある程度は話を割り引いて考える必要があるでしょう。


 ウクライナのメーカーであるICMのI-16は2000年の発売。後期生産型のタイプ18、24、28をキット化しています。ICMの航空機キットは大戦機については良い出来のキットが多く、本キットも当たりの部類で1/72のI-16キットの中では決定版と言えると思います。今回紹介するタイプ18は1930年代末期の生産型で、ノモンハン戦や二次大戦序盤で使用されたタイプの様です。



 キットのパーツ写真
 ライトグレーグレーの成型色でモールドされたランナーはぺらっと一枚。ただし、その一枚の枠の中に、1/72とは思えない細かく分割されたパーツがモールドされています。特にエンジン部分がやたら細かく再現されているのが特徴。
 パーツ分割もあまり類を見ない独特な物で、実機のパネル分割に合わせた箇所で別パーツ化されています。カウリング周りなどはバラバラ。



 パーツ表面のUP。旧ソ連圏のキットはアジア産やヨーロッパ産とは異なる独特のタッチのモールドが多く見られ、考え方の違いを感じさせます。
 いわゆる模型的なかっちりとした表現ではなく、実機の表面モールドをそのまま縮小して落とし込もうとしている感じ。ハセガワのキットの様なシャープさは
ありませんが、パネルの段差表現や羽布部分、細かいリベット表現などは目を見張る物があります。一度は手に取って見て欲しい面白さがあるモールド表現。


 計器板のパーツのUP。良く見るとやたらとメーター類が細かくモールドされています。



 キャノピーは良い出来ですが、ともかく小さいので無くさない様に注意。
 デカールはシンプルな機番と星マークのみ。ICMのデカールは硬くて貼りにくい印象があるので、別売デカールも用意した方がいいかも。





 キットパーツを仮組みしてみた所。
 プロポーションは見事の一語。I-16の1930年代風味のレトロな美しいスタイルを再現していると思います。鈍臭いデザインと片付けられがちですが、開発年代を考えれば当時なりの高速機の一つの到達点で、尾翼周りなどは特に複雑で美しいラインで構成されています。ICMのキットは各翼端も薄く仕上がっていて、飛行機として重要なポイントもきちんと押さえています。
 と、外形的には文句が無いのですが、そこはやっぱり旧ソ連圏のキット。各部に細かいバリやヒケ、歪みが見られるので、その辺をきちんと修正しないとぴったりとパーツがはまりません。機首周りも凝り過ぎの分割のため、組み立てはやや手こずります。これでもICMのキットとしては楽な部類ですが、ハセガワキットの様にはいかないので、国産に慣れている人は注意が必要です。


 ICMのI-16は1/72では最高の出来で、東欧キットに慣れている人には文句無くお勧めしたいキットです。ただ、パーツの合わせなどの組み立て易さはハセガワ1/72に軍配が上がるので、たくさん量産したい場合はそちらを選んでもいいでしょう。