アカデミー 1/72 ホーカー・テンペストX キット紹介                              トップページへ戻る
ACADEMY 1/72 TEMPEST MK.5

パッケージ写真


 ホーカー・テンペストは、2000馬力級の強力なセイバーエンジンを積みながらトラブル続出で運用が難航していたタイフーン戦闘機の改良型として開発が行われ、主翼や垂直尾翼を再設計し、胴体を延長して高性能戦闘機に生まれ変わった機体です。
 最初の量産型であるテンペストX型は1943年に初飛行し、1944年より英国本土に飛来するV1飛行爆弾の迎撃任務に就き、その高速を生かして多くのV1を撃墜しています。1944年秋からは欧州大陸の空戦にも参加し、ドイツ本国の最前線で制空戦闘機として活躍しました。大戦末期のイギリス空軍戦闘機としては最優秀機のひとつと言われています。
 
 テンペストは、高性能な戦闘機の割には活躍が大戦末期の対ドイツ戦に限られるためか、いまひとつ日陰の扱いで他のイギリス戦闘機に比べるとキット化にはあまり恵まれていません。ただ、発売されているキットについては佳作が多く、キットさえ入手出来れば製作は容易です。
 アカデミーのキットは1999年の発売。同社のキットは既存の他社製のキットを参考にした物が多いのですが、本キットはおそらくエレールのキットを手本にしていると思われます。元のエレールのキットが傑作のため、このアカデミーのキットも悪くない内容になっています。



 キットのパーツ写真
 ライトグレーグレーの成型色でモールドされたランナーは三枚。パーツ分割はまるっきりエレールと一緒ですが、パネルラインは細いスジボリ(エレールは凸)になっており、ぱっと見はハセガワのキットに近い仕上がりになっています。動翼部などはメリハリのあるモールドで、1/72スケール相応の手堅い表現。
 装備品は増加燃料タンクと爆弾が付いています。ただ、大戦中のテンペストは制空任務が主体で、タイフーンの様な爆弾装備はあまり見かけません。



 コクピット内部はエレールよりもモールドが追加されています。脚柱などもまずまずの仕上がり。


 キャノピーは前後分割式ですが、ちょっと分厚くてレンズ状になっています。そのまま使えないという酷さではないですが、別売の塩ビキャノピーに変えた方が見栄えはいいかも。


 アカデミーのデカールは品質が良くない事が多く、上手く貼れるか心配な場合が多いですが、本キットに付属している物は、印刷・発色ともまずまず。端の方で実験した限りでは何とか貼れそうです。
 マーキングは有名なクロステルマンの機体ともう一種類が付属。




 キットパーツを仮組みしてみた所。
 パーツの合わせはアカデミーのキットとしてはかなり良い部類で、ハセガワのキットとさほど変わらないレベル。パーツ分割もシンプルなので、組み立ては非常に楽です。
 プロポーションは元のエレールと微妙に機体ラインが異なっており、どちらかと言うと悪化している部分が多いかも。胴体がやや痩せ過ぎになってる様です。あと、プロペラブレードが太すぎる(エレールは正確)のは難点。
 ただ、元のエレールが素晴らしいプロポーションなので、多少劣化しているとはいえ、アカデミーのキットも十分にテンペストのプロポーションは再現出来ていると言えます。

 
 アカデミーのテンペストは前述の通りエレールの凹彫りバージョンと言った内容ですが、細部ディテールが改良され、組み立てもオリジナルより楽になっているので、手軽に製作するにはこちらの方が良いかも知れません。個人的にはエレール(エアフィックス、SMER版もあり)の方も大好きなので、両方お勧めしたい所です。