ハセガワ 1/72 B-239 バッファロー フィンランド空軍 キット紹介         トップページへ戻る


パッケージ写真



 ブリュースター・バッファローは、最近ではフィンランドでの活躍が広く知られるようになりましたが、以前は駄作機の典型と言われてきた戦闘機のひとつでした。実際に太平洋戦線ではパッとせず、零戦にはまるでかなわなかったというのが実情。

 しかし、米国でも最初はF4Fワイルドキャットとの競作に勝って採用された程で、操縦性は良くパイロットの評判も悪くない戦闘機でした。それが零戦にまったくかなわなかったのは何故か。
 個人的には、エンジンが一段加給機で低高度でしか性能が発揮できなかったのが原因と考えています。零戦は意外に高い高度でも性能が落ちにくい戦闘機で、中高度での空戦を得意としていた機体。そのため、低高度専用だったP-39やP-40、そしてバッファローは、零戦の得意とする高度で劣勢を強いられたのではないか、と。その点、スーパーチャージャーを搭載したF4Fは零戦と同高度でも性能を維持していたため、それなりに対抗できたと思われます。

 一方、フィンランド軍で使用されたバッファローは、低高度での戦闘に特化したソ連空軍への迎撃を任務にしていたため、その性能をいかんなく発揮し、継続戦争の序盤の主力戦闘機として大活躍出来たのだと思います。その辺は、同じく低高度での空戦で活躍したソ連空軍のP-39と通じる所があるかも知れません。



 ハセガワの1/72バッファローは、同社が1/72の大戦機を精力的に開発していた時の製品で、1990年代の作だったと記憶しています。バッファローは機首の形状が大きく違う3タイプがあり、同社のキットは機首を分割して各タイプを出せる様になっています。
 ただ、F2A-1とF2A-2型は確認しているのですが、最後期型のF2A-3を出していたかどうか記憶が定かでなくて、、、。最近のハセガワは1/72航空機をあまり再販していないので、入手困難になっているキットが結構あります。

 本ページで紹介するフィンランド空軍のバッファローは、ブリュースター社での呼称でB-239という名称で、米海軍が採用したF2A-1型から艦上用の装備を取り払った輸出用機体です。イギリス空軍などが採用したB-339型の前期型にあたり、機首が339型より少し長いのが特徴。



 ハセガワ製B-239のパーツ写真。ハセガワらしい非常にカッチリとしたモールドで、パーツ状態での綺麗さは今でもアジア大陸産のキットより一段上と言えます。あまりに綺麗過ぎて面白みが無い面もありますが、それは贅沢という物。


 キャノピーは3分割された物で、透明度、薄さとも良好。米海軍仕様の前部風防も入っていますが、フィンランド仕様では不要パーツ。ポリキャップはプロペラを取り付ける基部に使用します。



 デカールはフィンランド空軍機のみ四種類が付属。印刷は良好。
 ハセガワのデカールはフィルムがちょっと弱いので、マークソフターなどの仕様は控えめにした方がいいです。



 パーツ表面のUP写真。スジボリの綺麗さ、動翼部のメリハリ、控えめなリベット表現など、1/72では完成された表現だと思います。あっさりし過ぎずくど過ぎず、バランスが非常に良い。
 一方、コックピットの内部はちょっとあっさり気味ですが、1/72なら必要十分な再現度でしょう。



 B-239とF2A-1用の機首パーツ。ディテールを再現するため少し複雑な分割になっています。




 キットパーツを仮組みしてみた所。

 全体形状は見事にバッファローで、デブだけど力強さが無く、華奢な印象も兼ね備えた同機のイメージ良く再現しています。機首がやや絞り過ぎかな、という印象もありますが、大きな問題ではないでしょう。ただ、何故か各翼端がちょっと厚めで、垂直尾翼が板っぽく見えるのは難点。
 パーツの合いは流石ハセガワで、3分割されたキャノピーもぴったり合います。組み立てでてこずる部分は見当たりません。
 ただ、胴体に主翼を差し込む際に上半角がきちんと決まらず、写真の様に下がってしまうので、パッケージアートや実機の図面を参考に上半角を付ける必要があります。バッファローの上半角は結構強いので、注意して取り付けてください。


 ハセガワのバッファローは現在でも1/72の決定版で、普通に作るなら迷わずこのキットを選ぶべきでしょう。ただ、あまりハセガワがきちんと生産せず、入手困難なのが大きな難点。折角の傑作キットの資産を生かせていないのが歯がゆい所です。店頭で見つけたらとりあえず確保しておくのが吉。