エアフィックス 1/72 ホーカー・ハリケーンMK2C/シーハリケーン キット紹介         トップページへ戻る

パッケージ写真


 過去に何度も倒産と再生を繰り返してきたエアフィックスですが、最近はHORNBYという英国の鉄道模型メーカーの傘下に入り、以前とはうって変わって積極的に新製品を発売する様になりました。特に、国産メーカーがほとんど出さなくなった1/72の大戦機を積極的にリリースしてくれるのが嬉しい所。
 ただ、そのキット内容はちょっとまだ当たり外れが激しく、新しい開発体制はまだこなれていない模様。2010年以降のキットはかなり向上も見られますが、それ以前のキットは結構甘い部分も散見される。

 今回紹介するハリケーンMK2Cはちょっと外れの部類で、21世紀に発売されたキットにしては大味な部分が目立つ内容。
 エアフィックスの新金型1/72シリーズは、マニアではない一般ユーザーを狙っている様で、精密なディテール再現よりも組み立てやすさを狙った設計でキットの価格も安いのですが、それにしてもこのハリケーンはちょっとモールドが甘すぎるかな、という感じ。


 キットのパーツ写真
 グレーの成型色でモールドされたランナーは三枚で、1970年代的な懐かしい感じのレイアウト。エアフィックスの新金型キットが、当時のキットをそのままリニューアルするというコンセプトで設計されている事が分かります。
 本キットは、基本は20mm機関砲を装備したMK2C型ですが、シーハリケーン用の尾部パーツとフックが付属し、あと熱帯用フィルターと排気管が二種類付属。
 また、新金型エアフィックスのキットの特徴として、飛行状態を再現するための専用の閉じた脚カバーが付属していて、無改造で脚収納状態に組み立てる事が可能となっています。


 透明パーツ。キャノピーの他に、主翼のライトカバーも透明パーツとなっています。透明度はまずまず。


 
 結構大判のデカール。マーキングは三種類の選択式。
 赤箱になってからのエアフィックスキットに付属するデカールは印刷がかなり向上していて、グレー箱以前に付属していた物とは大違い。再販キットでもデカールは新規に起こされているので、なるべく赤箱の方を購入した方が良いと思います。



 
 パーツ表面のモールドのUP写真。
 うげげ、すんごい太いスジボリ、、、、、。マッチボックス一歩手前の運河彫り状態で、太いだけでなくかなり甘いモールドなのが印象を悪くしています。
 エアの新金型キットはスジボリが太い物が多いのですが、1/72ハリケーンのそれはちょっと極端で、2000年代のキットとしてはかなり厳しい仕上がり。スジボリだけでなくリベットも甘くて精密感はカケラもありません。一方、胴体後半の張布表現はまずまずのリアルさ。

 脚柱やフィギュアなどのパーツ。細部のモールドもお世辞にもシャープという感じの出来ではありません。この辺は昔のキットとあまり変わらず。
 パイロットフィギュアは、1970年代から使われているエアフィックス伝統の人形です。これに関しては、変わらない方がいいかな。エア1/72のシンボル的存在なので。


 キットパーツを仮組みしてみた所。
 パーツ状態の印象の悪さに比べると、全体形状はまずまず。既存の1/72キットに比べて胴体が太めに解釈されているのが特徴で、アングルによってはやや鈍重に見える印象。実機のハリケーンも実は胴体幅が意外に広いので、このキットの解釈も悪くはないと思います。ただ、機首の上面がちょっと角張りすぎているのは難点。アウトラインや各部の形状は実機とは微妙に違っている部分が多いですが、トータルで見るとそれなりにハリケーンの印象を良く捉えているかと。
 パーツの合わせは良好で、組み立てるのにそれほどストレスは無いと思います。あと、表面モールドのダルさに反して翼の後縁は非常にシャープで、エアフィックスのキットらしからぬ綺麗さ。

 全体的に見ると、既存のハセガワやドイツレベルなどのキットを凌駕する内容とは言えず、特に太すぎるスジボリは拒否反応を示す人が多そう。
 ただ、国内で購入しても価格が国産キットよりはるかに安い点や、デカールの質の高さ、組み立ての楽さなど、利点もいくつかあるので、試しに購入してみるのも悪くはないかと。ハセガワやタミヤのキットとはかなり切り口が異なるので、そういう点の面白さもあると思います。