アカデミー 1/35 メルカバMK3  キット作例              トップページに戻る


 アカデミーのメルカバMK3は90年代末頃の製品で、ウォーリァ歩兵戦闘車などと同様、同社の完全オリジナル設計。転輪パーツのみメルカバMK2の流用ですが、他の部分は完全新金型。本気になった時のアカデミーの実力を感じさせる力作キットです。
 
 実車のメルカバMK3は、非常に形式が多くて細部の変遷が激しいのですが、アカデミーがモデライズしたのはメルカバ3ブロック3と呼ばれるタイプで、中期生産型?という感じの位置付け。PANZERなどに良く掲載されているのは初期生産型のブロック2で、ブロック3とは砲塔形状が大幅に異なります。両タイプを混同して「アカデミーのキットは間違ってる!!」と思いがちだけど、実際はアカデミーは正しい考証をしているので勘違いしないように。
 ただ、メルカバMK3はその後も増加装甲を増設したりして改修が進んでいるので、アカデミーのキットは90年代末頃のメルカバの姿を再現しているという事になります。

 あと、余談ですが、メルカバ戦車と言うのは最初のMK1が登場してからともかく増加装甲で装甲を強化していった歴史で、しかも短期間にMK1〜MK4まで更新が進んでいる。発展が早いと言えば聞こえがいいけど、逆に言えば防御力不足にさんざん悩まされてきた歴史とも受け取れる。
 実際、レバノンのヒズボラとの戦いで多くのメルカバ戦車が対戦車ミサイルで破壊されていると言われ、日頃の無敵イメージとは程遠いメルカバ戦車の脆弱さが露呈している。メルカバ戦車のあの分厚い装甲は、逆にイスラエル軍の苦悩を象徴しているとも言えるでしょう。

 

 上記の通り、このキットはアカデミーの技術力を感じさせる好キットで、特に複雑な車体や砲塔の上面モールドなどは見事なもので、タミヤにも引けを取りません。
 アカデミーはやれば出来るメーカーなんだよなあ。 でも、何故か既存のキットがあるとそれを参考にしちゃう。実力があるのに易きに流れるのがどーにも残念。

 実車が極めて複雑な形状なのでさすがに省略もありますが、ストレートに組んでも模型としての密度感は十分。このページの作例もほぼストレートで、ほとんど手は加えていません。
 ただ、部品の合いは今ひとつなのと、部品の位置決めがかなりあいまいなので、製作についてはタミヤキットの様にスムーズにはいかないのが難点。砲塔周りの装備品の接着位置が示されていないので、実車写真を参考にするか、この作例(一部怪しいけど)の写真を参考にして頂けると幸いです。
 砲塔バスケット部分のチェーンカーテンはホワイトメタル製の物が付属。ただしモールドがちょっと荒れているのが難。取り付けには、自分でチェーンの長さを調節したり、ピンバイスで穴を開けたりする必要があります。
 キャタピラはポリ製の一体成型。出来はちょっと良くないですが、別売りの物は入手が難しいので作例はそのまま使用しています。下地に自動車塗装用のバンパープライマーを塗ると塗料ののりが飛躍的に良くなるのでお勧め。

 キットは全体に中級者向けのつくりで、組み立ての難易度は少し高めです。ただ、慣れてる人には逆に楽しめる内容。今の所メルカバ3のキットはこれしかないので、欲しい人は頑張って探しましょう。
 
 塗装はタミヤアクリルで、車体色はシナイグレイと言われる褐色気味のグレー。ダークイエローでは無いので注意。 
混色の際は、ジャーマングレーとサンドイエローを1:1程度で混ぜるといい感じになります。防盾カバーなどの布部分はフラットアースみたいな色。
 あと、イスラエル戦車はともかく砂や泥の汚れが目立つので、ウェザリングはかなりオーバーにやると雰囲気が出ます。あと、オイル汚れもかなりひどい。作例でも汚し足りないくらいで、ウェザリングの練習台にはもってこい。

 塗装レシピ
 車体        ジャーマングレー+サンドイエロー
 防盾カバーや布部分    フラットアース
 フェンダーのゴム部分  フラットブラック+グレー
 キャタピラ     ダークグレー+ブラウン→銀ドライブラシ
 牽引ワイヤー  ガンメタル+錆び色
 車体機銃    ガンメタル (銃床部はブラウン)