2002年に発売されたHGUCザクは、そういうアニメ調のテイストがもっとも強い一作で、それまでのMGやPGザクに見られた細かい表面ディテールが一切省かれ、旧ガンプラの様なシンプルな表面仕上げとなっています。MGの時に後付け設定されたS型の強化バーニア設定も省かれ、アニメと同じ形状に。また、以前のHGUCより可動をかなり重視した設計になっているのも特徴。
このHGUCザクはかなり好評だったため、後のガンプラの方向性を決めた様な気がしますね。広い可動範囲とシンプルな表面彫刻という特徴は、その後のHGやMGにも大きな影響を与えたと思います。ただ、その分アクションフィギュア的なテイストが強くなっていき、プラモというより組み立て玩具のイメージが強くなってきた部分もあります。
HGUC版ザクはシャア専用、量産型、それとガルマ専用ザクの三種類が発売されています。ガルマ専用ザクというのはアニメ本編には出てきませんが、1980年代のMSV時代には既に設定されていた物で、20年の時を経て初のキット化となりました。何気にHGUC初のMSVアイテム?
ちなみに、当時のMSVハンドブックの設定ではFS型は単なる指揮タイプで、ガルマ専用機以外のFS型もあった模様。色を塗り替えれば量産型の隊長機で通るみたい。なお、大型ヒートホークはガルマ専用装備です。
300円ザクの時代からするとかなりパーツ数が増えた感じですが、元のザクが単純な形状なのでHGUCとしてはシンプルな方。グレーのランナーの部品多くは武器パーツで、オプションの多さは嬉しい所。動力パイプはアサフレックス製?少し柔らかい材質です。関節構造の凝ったキットですが、ABS製パーツが多用される以前のキットなので、近作のHGUCよりは作りやすいと思います。
ただ、可動範囲が増えると失われる部分もあって、、、、。このHGUCザクは、可動範囲を確保するために各関節部分が大きく切り欠かれていて、外形のラインを大きく損ねています。また、肩関節の引き出し構造は人間の骨格ではありえない動きなので、上から見ると肩が脱臼してる様に見えるのが大きな難点。
この辺の処理は、正直もう少し上手くカバーして欲しかったのですが、その後のHGUCはこれらの欠点はむしろ悪化する傾向が強く、そういう意味ではまずい方向性を作ってしまったかなあ、と。ガンプラが模型と言うより組み立て式のアクションフィギュアになっていく発端のキットだったかも。
付属武器はかなり充実していて、マシンガンとバズーカの他、マゼラトップ主砲とガルマザク専用ヒートホークが付属。特にマゼラトップ主砲はガルマ専用ザクのキットにしか付いてないので価値が高いです。あと、珍しく左側にも武器持ち用の手首が付いているので、ご覧の通り両手持ちも可能。
ガルマ機用のヒートホークを構えた所。大きいので両手持ちが似合う。ヒートホークのデザインはドズル用ザクの物とは異なっています。
ザクFS型に特徴の頭部バルカン。とは言っても、大河原氏の描くザクのイラストではこの頭部バルカンは良く描かれているので、ガルマ専用機にこだわらず、気分でこのバルカン付きヘッドを使うのもいいと思います。
このHGUCザクは、いろんな意味で2000年代後半の最新HGUCに近い作風で、そういう意味では最新キットに慣れた人には文句無く薦められると思います。組み立て玩具としての完成度は非常に高いです。
ただ、模型的な繊細さに欠ける部分があるので、精密感を演出する場合は少し手を加える必要がありそう。幸いABSパーツなどは使われていないし、パーツの後ハメ加工もほとんど必要無いので、手を加える素体としては使いやすいキットです。