このOVAは、途中で前期監督の神田武幸氏が逝去されたため、シリーズ中盤で1年近い中断があり、プラモシリーズも同様に初期と後期でかなり間の開いた発売になっています。
最初に発売されたのが陸戦型ガンダムとザクのセットと陸戦型ジム。そして、このガンダムEZ-8やグフカスタム以降のキットはそれらの1年以上後に発売されたため、シリーズ前期と後期でモールドのタッチなどがかなり異なっています。
その1/144EZ-8のキットですが、シリーズ後半の主人公機という事で、かなり気合の入った内容になっています。設定では陸戦型ガンダムの改良型という設定ですが、キットは完全新金型になり、陸戦ガンダムキットの欠点を修正してモールドも格段にシャープに仕上がっています。HGグフカスタム同様にかなりレベルの高い内容で、ある意味、翌年からスタートするのHGUCシリーズの基礎を作ったキットとも言えるかも。
このキットの関節可動範囲は十年前のキットとしてはまずまず。膝は二重関節となっており結構良く動きます。肘部分のポリキャップが露出しているのが難点ですが、このキットの場合、それほど大きくは目立たないので問題は少ないと思います。足首にもう一つボールジョイントを足せば完璧かも。
何気にこのキットの驚愕ギミック、胸部ハッチ開閉。増加装甲部分がスライドして開く事が出来ます。操縦席ハッチも別パーツで開いた状態にする事も可能。モールドも割とそれらしく、1/144ながらMG風の精密感が楽しめます。頭の横にいるのは付属の1/144シローのフィギュア。これもけっこう精密なモールドでいい出来です。
あと、このキットは頭部のモールドが特に素晴らしく、まるでスケールモデルの様な精密さ。特にアンテナのモールドがスゴイ。いい意味でガンプラとは思えない出来。
脚部装甲の開閉ギミック。足首周りの装甲が可動する他、膝のニースパイクが可動式になっています。この辺も当時の1/144としては凝った構成。
ビームサーベルは二本付いていますが、残念ながら不透明。背中の荷物ラックには、パラシュートパックを付けない時のパーツも用意されています。あと、HG陸戦型ガンダムのコンテナを取り付ける事も可能(HGUC版は不明)です。
細部まで良く出来たキットですが、唯一とも言える欠点は、首のポリパーツが浮いて見える点。ここは首を短くするか、ポリパテなどで首部分を新造した方がいいかも。
同じ08小隊HGシリーズの1/144HG陸戦型ジムとの比較。並べてみると、陸戦型ジムのプロポーションを元に、胴体幅などの調整を行って設計されたキットの模様。スマートなスタイルはHG陸ジム譲りみたいですね。
このHG EZ-8は、多少スタイルが良すぎるという点はあるものの、ほとんどHGUCと変わらない水準のキットなので、現在でも十二分に通用する内容だと思います。無理にHGUC版を望む必要は、このEZ-8に関してはあまり無さそうですね。