バンダイ 1/100 ガルバルディβ 仮組みレビュー                      トップページに戻る

 バンダイ 1/100 ガルバルディβ 定価1050円(税込み)発売 1985年  

 ファーストガンダム一年戦争の7年後という設定で始まったZガンダム。ジオン公国は敗北して連邦支配下?のジオン共和国となり、敵役としてはジオン製モビルスーツは出てこない筈、、、、、でしたが、何故かジオンの意匠を継ぐハイザックやマラサイなどが、引き続き敵役として登場する事になります。
 そんな旧ジオン風MSの中でも、ガルバルディβはジオン系の直系という設定で、ゲルググとギャンの後継機として1年戦争末期に開発されたガルバルディ(α )の改良型という設定。Zガンダムの劇中では、何故か連邦の女性エース、ライラ・ミラ・ライラが搭乗してカミーユのガンダムMK-2と対決する事に。
 アニメではガルバルディβはライラ隊が使用したのみの短い登場で、ライラのキャラクター自体は非常に印象に残ったものの、MSのガルバルディβの方は影の薄い存在になってしまった感じ。人物キャラクターの有り余る個性に比べて、モビルスーツの演出が弱いのはZガンダム全編に共通する難点でした。

 Zガンダムのプラモデルシリーズは当初大きな期待が込められていたので、1/144中心だったエルガイムシリーズから一転して、1/144と1/100の二本立てシリーズでスタートしました。が、売れ行きがあまり思わしくなかったのか1/100は早期に終了してしまい、中盤以降は1/144と1/220のミニサイズのキットがメインとなります。
 Zガンダムシリーズの1/100は良作が多かったので、中断は惜しかったですね。1/100マラサイなど、当時から要望も多かったのですが。その点、初期登場だったのが幸いして、ガルバルディβは無事に1/100が発売されて、貴重な敵MSの1/100サイズキットとなりました。



 1/100ガルバルディβのパーツ写真。旧ファーストのキットより5年が経過し、かなりパーツ数は多くなっています。それでも定価千円に抑えていたのだから凄い。
 キットの構成は1/100バイファムシリーズに良く似ていて、関節の構造やポリキャップの使い方も似た感じ。ただ、バイファムシリーズで見られたスジボリの追加モールドは無く、基本的にはアニメ準拠です。スナップキットではありませんが、各関節はポリキャップでアトハメ式になっており、組み立ては最近のHGに近い感覚で行えます。

 1/100ガルバルディβ専用のポリキャップ。当時の大サイズキットは、ポリキャップも専用の物を金型で起こしている事が多く、今のMGよりむしろ豪華だった。設計的には、むしろこの頃の方が理にかなっていたかも知れません。

 1/100ガルバルディβの仮組み写真。スナップキットではないので仮組み用テープがちょっと醜いですがご勘弁を。

 この1/100は設定画のバランスから少しディフォルメが入っていて、特に胴体は幅広でボリュームを増した形状になっています。その点は設定画をほぼ忠実に再現した1/144と印象がかなり異なる部分。

 一般的な評価ではガルバルディβのベストキットは1/144と言われ、1/100はそれより一段劣ると言われています。設定画遵守から考えればその通りなのですが、個人的にはこの恰幅のいい1/100も捨てがたい魅力があって大好きなキットです。ちょっとひ弱過ぎる設定画に比べ、がっしりした上半身が力強い。さりとて太すぎるバランスでもないので、立体としては良くまとまっているかと。

 本キットはポリキャップを採用し、ボールジョイントこそ無いものの、関節の多くに2軸関節を採用した凝ったつくりになっていますが、、、可動範囲は、ご覧の通りいささか狭いです(苦笑)。肘や膝があまり曲がらないので、大胆なポーズはほとんど取れません。
 これは、当時のキットが可動よりディテールを重視していたためで、最近のMGやHGにある様な可動部分の切り欠きが殆ど無いので、可動部があっても曲がらない訳です。ただし、切り欠きが無い分手足の形状は美しく、玩具っぽさが少ないのは当時のキットならではの利点。

 旧ファーストのキットと異なり、可動ギミック自体は立派な物が入っているので、可動部分を大胆に切り欠けば可動範囲は飛躍的に広がると思われます。むしろ、そういう改造前提のキットなのかも。ガンプラ改造が当たり前だった当時だし。
 あと、可動軸が多いので、無改造でも、つま先をハの字に広げて肩を後方にそらした自然な立ちポーズで飾れるのは大きな利点。


 1/100Zガンダムキットの特徴の一つ、可動指ギミック。このスケールでは多分Zシリーズが初だったと思います。組み立てが少し面倒ですがなかなか有効なギミックで、その後のガンプラでも良く見かけますね。

 Zのモビルスーツの中ではめずらしくシンプルな背面。ランドセルは取り外し可能です。スカート後面はリックディアスみたいで、同じ永野デザインのため兄弟機の様。

 何故かコクピットのハッチ部分は別パーツ。ただ、内部モールドが乏しいので、開ける時は追加工作が必要かも。

 こうやってアオリパースで撮るとなかなかカッコいい。1/100ならではの巨大感です。このアングルだと、胴体を広めに取った1/100のスタイルが生きてきます。
 付属武器はライフルのみで、ビームサーベルすらないのが悲しい部分。設定でも武器が少ないのでしょうがないですが、追加武器を持たせるならリックディアスのクレイバズーカとかが似合いそう。何気に永野カラーが強いんですよ、このMS。

 Z1/100シリーズのもう一つの特徴、1/48パイロットフィギュア。何故1/48なのかという疑問が大いに残るオマケですが、他の1/100にも付いていた筈。出来はご覧の通りイマイチですが、これが後のMGなどのオマケフィギュアに繋がっていくのかなあ。



 MG1/100ジムとの比較。キットは設定にほぼ忠実なスケールですが、ゲルググ系という割には小柄な印象。ゲルググの技術を引き継いで小型軽量化したMS、という感じですかね。シンプルないかにも量産型っぽいMSなので、もうちょっと装備違いのバリエーションがあっても面白かったかも。
 あと、ガルバルディと関係ないですが、MGのジムVer1は割とZのモビルスーツと並んでも違和感が無いので、ジムUのベースとしては適任かも知れませんね。

 ガルバルディβはあまり人気のあるMSとは言えず、MGにもHGUCにもなっていないのが少し不遇ですが、旧キットは1/100も1/144も良い出来なので、それらで十分にカバーは出来ると思います。新キットにならないのを嘆くより、今ある キットを見直した方が建設的でしょう。