バンダイ 1/144 ボール 仮組みレビュー トップページに戻る
バンダイ 1/144 ボール 定価315円(税込み)発売 1981年
ファーストに登場した連邦軍の簡易モビルスーツ「ボール」は、兵器指向の強いモビルスーツの中でも異質の存在。
足を持たず、貧弱なマジックハンドしか持たないその姿はいかにも間に合わせの簡易兵器でしたが、連邦の雑兵役として画面の背景に大量に登場し、番組後半の大規模決戦のイメージを盛り上げてくれた、隠れた名脇役です。
とはいえ、宇宙空間でホントにモビルスーツの様な手足が必要なのか?というといささか疑問があり、その点からすると、大型の推進装置と姿勢制御バーニアを備え、小型軽量で大火力の火砲を備えたボールは、むしろガンダムなんかよりはるかに優れた宇宙用兵器にも見える。「本当にリアルなモビルスーツはボールである」というのは、放送当時から言われてた事なんですよね。
劇中ではほとんど勇ましい活躍もなく、ザクにサッカーボールみたいに蹴り飛ばされるシーン位しか印象の無いボールですが、こんな端役メカまでキット化されてしまったのが、最初のガンダムブームの凄い所ですねえ。
また、「マイナーメカほど出来がいい」というバンダイの法則通り、このボールは旧シリーズ屈指の出来の良さを誇る傑作キットとなっています。プロポーションやモールドは当時のガンプラの水準より一段上で、パーツの合わせの悪さなどを除けば、HGUC版の必要性は殆ど感じないほど。更におまけに小サイズの1/250ボールが付いているというサービスっぷりで、旧キットが再販される際は、真っ先に押さえておくべきキットのひとつ。
1/144ボールのパーツ写真。意外と細かい部品が多く精密感があります。おまけに1/250ボールのパーツも入っているのでランナーにパーツがぎっしり。
ボールの仮組み写真。
元が球形なので当然と言えば当然ですが、ボールのイメージを見事に再現したフォルム。
胴体形状は、設定画では若干卵形に歪んでいる様にも見えるのですが、キットでは完全な球形になっています。立体としてはキットの処理の方が正しいでしょう。
表面のディテールは、ほぼ設定画に描き込まれている線を正確に再現。意外と細かいディテールの多いボールの表面モールドが、カッチリと掘り込まれています。
正面から見た所。胴体下部のバーニアノズルもきちんと別パーツで再現。
マジックハンド(説明書の呼称)は、手首と肘(?)部分が可動。ただ、根元部分は固定式なので可動にこだわる人はここにボールジョイントを仕込むといいかも。砲は根元が回転し、仰角部分が可動。
このキット、ディテール面は申し分ないですが、古いキットなので単純な二分割が多く、ご覧の様に凹モールド部分に分割線が走ってるのが難点。合わせ目消しはちょっとやっかいです。まあ、最近のSEEDキットですらこういう部分は割と多いんだけど。
あと、部品の合わせなどは旧キットらしくやっぱり良くないので、すり合わせ加工などは不可欠です。
キットに付属の台座。シンプルながらなかなかいいデザイン。
おまけの1/250ボール。多少省略はありますが、これも非常に出来がいい。腕は固定ですが、砲は1/144と同様に可動。
大小二種のボールが並んだ親子状態。小さい方は遠景用にも使えます。こういうミニサイズのおまけは昔のキャラクターキットでは良くあって、1970年代のバンダイやアオシマのキットには良く見られました。ちょっと(かなり?)懐かしい仕様です。
互いに固い絆で結ばれた同胞のGMと並んだ写真。ご覧の通り、ディテールなどについてはHGUC版に全く見劣りしないので、現役キットとして全く問題ない出来と言えます。
ただ、このボールは設定全高が不明というやっかいな点があって、、、、。
劇中イメージと比べると、この1/144ボールはちょっと大きめにも感じられます。アニメだとザクと比較して大き目のサッカーボールくらいに見えるので、そうなると隣の1/250の方が1/144としてはそれらしい大きさとも言えます。が、一方、ボールの主砲はガンタンクと同クラスという設定もあり、それに従うとキットのサイズで正解、とも言えます。
近年の公式設定だとキットのサイズで問題ない様ですが、TVイメージを遵守するなら1/250を1/144とし、1/144は1/100クラスとして考えるとそれらしいかも。そういう意味でも、二種類のサイズがセットされたこのキットは素晴らしい!と言えますね。