バンダイ 1/144 ゾゴック 仮組みレビュー                      トップページに戻る

 バンダイ 1/144 ゾゴック 定価420円(税込み)発売 1982年  

 ゾゴックは、第一期ガンプラブームの末期に発売された有名(?)な4機のボツメカ水陸両用MSの中の1体。

 この4機の元ネタが、TVシリーズのジャブロー攻防戦で登場予定だったトミノメモのラフ設定である事は有名ですが、デザインがモビルスーツのリアル兵器路線から浮きまくっていたため、後々格好のネタにされる事に。
 今考えてみると、ガンダムのTVシリーズは玩具売上低迷のために、従来ヒーローロボアニメへの路線変更をスポンサーのクローバーから要求されていて、そのために登場したのがGアーマーであり、敵方では従来の怪物的デザインの水陸両用MSだったと思われます。何せ1979年と言えばマジンガーZから十年も経っていないし、ガンダム以外はスーパーロボットがバリバリ現役の時代だったので、こういう”後戻り現象”が起こったのも、今から見ればやむを得ない話ですね。
 それでも、人気低迷から路線変更を余儀なくされて凡作に落ちていった作品が今も昔も多い中で、最小限スポンサーの要求を呑みながらも、初志を貫徹したガンダムは作品としても奇跡的な存在だったと思います。


 1/144ゾゴックのパーツ写真。再販品ですが、真っ赤な成型色は今も昔も変わらず。 


 ゾゴックの仮組み写真。

 ゾゴックは4機のボツメカMSの中でも特に機械獣じみたデザインで、頭のカッターがいかにも悪役っぽい。設定では頭と腰(スリット状に見える部分)からブーメランカッターを発射して攻撃するという凄まじさで、劇中に登場していれば大いに世界観をぶち壊したかも。でもちょっと見たかった気もしますねえ。ギレンの野望では、このブーメランカッターを発射するシーンがあった筈。
 
 キットの形状は大河原氏の設定画とは大きく異なり、かなり可愛らしくディフォルメされています。ちょっと昔のソフビ人形みたい。設定画だと割とたくましく引き締まった感じのプロポーションなのですが、全体に太く丸っこく、腰周りなどはまるでオムツをはいてるみたい。ある意味、いい味でまくりのレトロ風味溢れる造形とも言えます。


  このキットの数少ないギミックが、この腕の伸縮ギミック。と言っても、写真のくらいしか伸びません。あと、スライド部分がガタガタなので全く固定できないのが泣ける。


 あと、このキットは可動ギミック全体に問題があり、肘や膝が殆ど曲がりません。可動軸そのものはニ軸可動を採用していて妙に凝っているのですが、可動範囲を広げるための切り欠きが全く無いので干渉して動かないのです。まあ、当時のガンプラでは良くある事なのですが。ただし、つま先がハの字に向けられるので、素立ちポーズはそこそこ決まります。


 恒例HGUCジムとの比較。頭部に当たる部分が無いので全高は低めですが、ボリュームはあります。
 
 正直、このキットはモビルスーツのキットとしては、当時の水準でもあんまし出来がいいとは言えないと思いますが、当時のバンダイのディフォルメセンスが色濃く出ているキットなので、その雰囲気が好きな人には悪くないでしょう。モビルスーツと言うより、昭和40年代くらいを感じさせるレトロ感のある立体物とも言えるかも。