バンダイ HG 1/100 Gガンダム 仮組みレビュー            トップページに戻る



バンダイ HG 1/100 Gガンダム 定価 1575円  

 「機動武闘伝Gガンダム」がTV放映されていた当時に発売されたキット。1994年発売。

 前作のVガンダムが子供向けとしては重苦しすぎる内容で人気が低迷したため、開き直って当時大流行だった格闘ゲームの要素を取り入れ、「格闘ガンダム」という新境地?を開拓した異色のシリーズが機動武闘伝Gガンダムです。
 普通、こういう大胆なシリーズの路線変更というのは受け入れられない事が多いのですが、Vガンダムがいささか富野監督の限界を感じさせる内容で、シリーズ自体の行き詰り感が強く、大幅な路線変更はむしろ歓迎された部分もあります。
 アニメ内容も、見た目の破天荒さの裏側でザンボット3譲りの五武冬史脚本のシビアな世界観が語られるという、面白いブレンド具合のストーリーに仕上がっており、単なる子供向けとは言い切れない深い作品に仕上がっていました。

 一方、プラモデルシリーズの方は徹底して低年齢層向けを意識したラインナップとなり、通常の500円の1/144シリーズの下に、更に低価格の300円シリーズが発売され、SDガンダムの層を取り込もうという努力が見られました。
 1/100については、F91〜Vガンダムの時の1/100キットの内容を引き継ぎ、ある程度高年齢向けを意識した本格的な内容になっています。また、1/60の大型キットも引き続き発売されています。
 

 
 
 HG 1/100 Gガンダムのパーツ写真。
 近年のガンプラでは”HG”と言うと1/144専門のブランドの様に扱われていますが、1990年代では、システムインジェクションを使用して多色成型されキットは、スケールを問わずHGという表記がなされていました。
 HG 1/100 Gガンダムは、それまでの1/100シリーズを踏襲するフォーマットの設計で、1990年代の1/100ガンプラの標準的な構成です。
 ただ、1/100シャイニングガンダムまで使われていた1パーツを多色成型するやり方が廃止され、コストダウンのためか1パーツは一色で成型される様になりました。これ以降のガンプラはあまり多色成型パーツは使われなくなり、異なる色で成型されたパーツを組み合わせて色分けを再現する方式が主流となります。
 

 キットに付属する、胸に貼り付ける立体状に盛り上がったクリスタルシール。この辺はSDガンダムのノウハウが使われています。 

 HG 1/100 Gガンダムのパーツを組み立てた写真。
 Gガンダムシリーズのプラモは、1/144についてはプロポーションがあまり良くないキットが多かったのですが、1/100についてはF91の頃に引き続いてプロポーションの良好なキットが多く、このGガンダムは現在の目で見てもさほど遜色ない、格好いいプロポーションに仕上がっています。立ちポーズで飾る分にはMGは要らないと思わせる出来。
 また、Gガンダムシリーズの1/100は精密感を演出するため、機体表面にプラモオリジナルのパネルラインが彫刻されています。アニメの世界観に合う表現かどうかは微妙ですが、このキットに関してはさほどモールドはうるさくなく、良いアクセントになっています。

 上半身部分のUP。顔の造形も設定画の特徴を捉えていていい感じ。適度に洗練されてない所が逆にGガンっぽく、何でも同じ顔にしてしまう最近のガンプラよりむしろ良い出来だと思います。昔のキットなのでパーツの裏側などがスカスカだったりしますが、外観については完璧かと。
 なお、色分けの関係で頭頂部が黄色になっていますが、ここはシールでカバーする仕様。



 、、、と、外観については文句の無いキットですが、実は動かしてみると、いろいろと問題が、、、。
 どうにも全体に可動範囲が狭く、あまりポーズが付けられません。可動ギミックについては古いキットなので仕方がないと言えばそれまでですが、「格闘ガンダム」である以上、大胆なポーズが付けられないのはかなりマイナスポイントかと。
 一応、要所にはボールジョイントが使われ、肘や膝は二重関節になっているのですが、可動範囲の詰めが甘く各部のアーマーも干渉しまくりで、ポーズを付ける際にかなりストレスが溜まります。
 1990年代ガンプラ基準では十分な可動なのですが、「格闘ガンダム」という要素をうまく消化し切れなかった印象。その辺は、やはり後に発売されたMG版Gガンダムに大きく劣る部分です。

 爆熱ゴッドフィンガーのギミック。元々簡単なギミックなので、1/100でも問題なく再現。ただ、スイング用のヒンジがちょっと外れやすいです。
 手首はクリアオレンジ成型の専用パーツと取り替えます。

 フィールド発生装置展開ギミック。羽根の展開はもちろん、レッグスラスター部分も開きます。
 ただ、アニメで描かれている日輪エフェクトのパーツは無し。あれは多分アニメ作画の段階で付けられたと思うので、キットには反映出来なかったと思われます。

 
 レッグスラスターの内部ディテール。一体パーツですが意外とモールドが凝っています。



 胸の「エネルギーマルチプイヤーシステム」展開ギミック。説明書の解説によると、「東洋の気孔の気の様にエネルギーを練る」事の出来るシステムだそうで、、、。
 ハッチの開閉は可動式ではなく、開状態のパーツに付け替える選択式になっています。真ん中のクリスタルは先に紹介したシールを使用します。なかなかキレイ。
 あと、両肩のマシンキャノンも引き出し式の可動ではなく付け替え式です。この部分はちょっと取り外しがやりにくく、今ひとつな感じ。



 ビームサーベルは柄まで透明で一体成型された物が二本付属。書き忘れましたが、手首はこの時期の1/100キット標準の可動指仕様です。



 劇中で登場した記憶が定かでないコアランダー形態。簡単なギミックなので変形は問題なく再現されています。何気にコクピット内部もちゃんとモールドがあったり。妙にディテールが凝ってるキットなんですよね。
 


 MG 1/100 ジム1.0との比較。F91よりは大き目ですが、一年戦争のMSと比べると一回り小さいサイズです。
 こののキットはMGシリーズが開始される一年前のキットなので、パネルラインのモールドや開閉ギミック等、初期MGに見られる要素と共通する部分がいくつか見られます。


 HGの1/100 Gガンダムは、当時の水準からすれば出来のいい部類に入る内容なのですが、旧来のガンプラフォーマットから脱却できず、可動ギミックが弱いため劇中の様なポーズが付けにくいという大きな欠点を抱えています。
 ポーズをいろいろ取らせて遊ぶにはやっぱりMGの方をお勧めしますが、形そのものは旧キットも捨てがたい味があるので、本ページの写真を見て気に入った人は作ってみても面白いと思います。