バンダイ HGUC 1/144 キュベレイ 仮組みレビュー            トップページに戻る



バンダイ HGUC 1/144 キュベレイ 定価 1575円  

 HGUC開始直後の1999年に発売された、同シリーズ黎明期のキット。シリーズナンバーは4番目。

 ご存知ハマーン・カーンの駆るNT用最強モビルスーツ・キュベレイは、Zガンダム終盤に登場し、そのままガンダムZZでも続投で登場して、しかも最終ボスとしてZZと激闘を繰り広げたという、文句なしに二作品を代表するモビルスーツのひとつと言える存在です。異形でありながら華やかさを感じさせる女性的な美しいデザインは、ハマーンのイメージにもぴったりで、血の儀式で信仰されたキュベレ大地母神の名前も良く合っていると思います。
 
 アニメ劇中では非常に印象深いモビルスーツだったキュベレイですが、放送当時のプラモデルの扱いはあまり良くはなく、Zガンダム末期に1/220キットが発売されたのみ。 長らくスタンダードの1/144でキットが望まれていたので、HGUCシリーズの初期ラインナップに選ばれたのはむしろ当然と言えるでしょう。

  


 HGUC1/144キュベレイのパーツ写真。
 外装が非常に大きくて面積も広いパーツが多いので、1/144にしては大きめのパーツが並びます。初期HGUCなのでパーツ数自体は少なめ。手首のパーツはアサフレックスの様な少し柔らかい素材です。ポリキャップは初期のMGと共通の物。ABSパーツは使用されていません。
 パーツのモールドや仕上げは1999年の作という事でちょっと甘めでバリも多少あります。ただ、モールドの甘さは、曲面主体でメカらしさの乏しいキュベレイの場合、そんなに気にならないかも。
 

 HGUCキュベレイのパーツを組んだ状態。
 組んでみると想像以上にボリュームがあり、良く1500円で済んだな、という印象。初期のHGUCはかなりお買い得感のあるキットが多いです。
 プロポーションは大幅なアレンジは無く、TV版の永野設定画を良く再現していると思います。やや肩バインダーの肩口の形状が直線的に感じる以外はほぼ問題ない外観かと。初期HGUCの中では傑作に属する好キット。

 こうやって立体化されたキュベレイを良く見ると、リックディアスの発展型にも見えるプロポーションなのが面白いですね。設定上は繋がりが無い筈なんだけど、同じデザイナーから生まれたMSなだけに血は争えない様で。

 初期のHGUCなので可動は今ひとつで、各関節も単純な構造です。ただ、キュベレイはあまりポーズを大胆な取れるデザインではないので、この程度で十分でしょう。各関節は組み立て後にもバラバラに出来る構造で、塗装作業は楽。
 腰部分については、飛行ポーズを取らせるために結構可動します。

 肩バインダー基部の可動構造。L字型の支柱の両端にポリキャップを付けた構造になっていて、バインダーを開いたりスイングさせたりする事が可能。巨大なバインダーの保持力は十分で、垂れ下がったりする事はありません。
 ただ、凝った構造の割には今ひとつバインダーの動く自由度は低いかも。マントの様にバインダーを下に下げる事もやりにくいです。

 バインダー内側のディテール。一応永野稿を再現していますが、ちょっとモールドが甘いかも。

 

 白い成形色でモールドが見にくかったので、別撮りで顔のモールドのUP写真を.。一応、両目の部分はモールドで彫刻されています。
 


 差し込むだけの簡単な構造ですが、コクピット前の装甲板は設定通り可動します。



 背中に装着しているファンネルコンテナには、別パーツで10個のファンネルが取り付け可能。完成後も外す事が出来ます。

 それにしても、Zガンダム時点でこんな小型のNT用モビルスーツを完成させているのに、ZZのクインマンサやガンダムUCのクシャトリヤは再び巨大化して、むしろ技術的には後退している気が。



 このキットのウリの一つ、飛行形態のポーズを取らせた所。両腕を広げてバインダーの中に隠す様な位置にして、首を上に向けて胴を逸らせています。アニメ劇中でも良く見られたポーズ。
 初期のHGUCは、この様に劇中で印象深いポーズを取らせるために専用の可動ギミック(キュベレイでは首の根元の可動)を設けている事が多く、それを「メモリアルアクション」と名づけてセールスポイントにしていましたが、中期以降は見られなくなりました。まあ、最近のHGUCは可動範囲が非常に広いので、特に専用のギミックは必要としないのでしょう。



 キットにはクリアー成形のビームサーベルが二本付属。ただ、初期キットなので柄の部分までクリアーになっているタイプです。ビーム刀のサイズも少し小さめかも。




 黎明期のHGUCらしい欠点として、ヒジ間接のポリパーツがむき出しになっているというのがあります。
 ただ、HGUCギャンと異なりデザイン上目立ちにくいので、キュベレイに関しては気にしない方が懸命かも。



 Zガンダムや百式が不在だったので、いつものGM君との比較写真。
 かなり巨大な肩バインダーである事が良くわかります。全体のボリュームは通常のMSよりかなりあります。スケールはほぼ設定通りの1/144。


 HGUCキュベレイは、十年以上前のHGUC黎明期のキットという事で、細部については多少甘さも見られますが、全体形は見事にキュベレイのイメージを再現しており、初期の傑作キットと言えます。組み立ても簡単でサイズの割りに価格も安いので、万人にお勧めできる内容でしょう。