バンダイ 1/144 ウイングガンダムゼロ 仮組みレビュー            トップページに戻る



バンダイ 1/144 ウイングガンダムゼロ(フィギュア付きバージョン) 定価 840円  

 オリジナルのキットは、通常版がTV放映時の1995年の発売。今回取り上げたキットは、パイロットのフィギュアをセットして2000年に再販されたバージョンです。

 前作Gガンダムが、対象年齢を下げたスパロボ的デザインで低年齢層の人気を得たので、その流れを継承したのがウイングガンダムのMSデザイン。前作同様にカラフルな色使いとゴテゴテした装飾性の強いディテールで、今回は強力な銃火器も加わり、いかにも子供が好みそうな派手で玩具的なデザインとなりました。
 ところが、ご存知の通り、アニメ内容は不条理とも言える突拍子も無いストーリー展開で、美少年キャラを推したのもあって大学生以上のアニメファンには絶大な支持を受けたのですが、子供向けとしてデザインされたMSとアニメの作風がどうにも合わず、放映当時は肝心の子供受けは今ひとつだったという印象です。

 その後、エンドレスワルツというオリジナルビデオの展開などもあり、ウイングガンダムシリーズは幅広い人気を得る事になりますが、その中心となったのは、アニメ劇中の世界観に合わせてデザインし直されたウイングガンダムゼロカスタムで、オリジナルのTV版ウイングガンダムゼロは、半ば忘れ去られた扱いになってしまいました。
 


 1/144ウイングガンダムゼロのパーツ写真。Vガンダム〜ガンダムXまでの四作のシリーズでは、1/144は低年齢向けのキットと位置づけられていて、価格も500円〜700円程度で、パーツ数は極力抑えられています。ただ、主役のガンダムに関しては少し豪華な仕様になっている事が多く、このウイングガンダムゼロも、システムインジェクションを使用して結構カラフルな色分けになっています。
 低価格キットとは言え、この時期の1/144は各関節が可動し、要所にはボールジョイントも使用されていますが、可動範囲は狭く、それなりに動くといった程度。あと、現在のキットと比べるとモールドが相当に甘く、はめ合わせも良くないです。全体的にかなりチープな印象。

 2000年の再販時に追加されたヒイロ君のフィギュア。スケールは1/35程度で、アサフレックス製です。棒立ちポーズがイマイチですが、出来そのものはまずまず。


 ウイングガンダムゼロのパーツを組んでみた所。
 組んでみると、当時の1/144としては悪くない方の出来かな、、、、。現在のキットに比べると相当に甘いモールドですが、WGの1/144キットの中ではマシな部類。
 当時の1/144はちょっと子供っぽい体型にディフォルメされているキットが多いのが特徴で、胴体や脚が少し寸詰まりで、肩が大きめに造形されています。購入ターゲットの小学生に親近感を持たせるためのディフォルメ?
 あと、当時の1/144の仕様としては、手首が丸ごと一体のポリパーツで、ヒジやヒザの間接もポリパーツが剥き出しになっています。ここは、値段と低年齢向けキットという事を考えると仕方が無いかも。最近の千円を超えるHGキットと同等、という訳にはいかないでしょう。


 可動範囲はこんな程度。一応スカートも可動するし、股関節や足首にはボールジョイントが仕込まれているのですが、間接部分の設計があまり練りこまれていない事もあって、それほど自由なポーズは取れません。ただ、干渉する部分を削って加工すると、多少は可動範囲が広がります。

 顔部分をアップで見ると、そこそこモールドはしっかりしている事が分かります。安全基準のためアンテナがかなり太くゴツイので、ここを削ればかなり印象は良くなるはず。ビームサーベルは当然のごとくグレー一色。


 
 ネオバート形態への変形ギミック。
 ゼロカスタムにはない、本家ウイングガンダムゼロの特徴とも言える飛行形態への変形ですが、なんと1/144でもほぼこの変形ギミックを再現。
 背中のウイングの展開は一部差し替え変形ですが、他はほぼ差し替えなしで変形。もっとも、1/144でも変形可能な様にギミック自体を単純化しているからこそ、この低価格キットでも再現できている訳ですが。
 上面から見ると、なんとなくタツノコアニメ時代のメカを思わせる、有機的ラインが面白いバード形態ですが、下面はご覧の通りガンダムのまんま(笑)。

 


 恒例のHGUCジムとの比較。
 1年戦争のMSと比べると、WGのモビルスーツは一回り小さい事が分かります。ただ、翼などのパーツが多く、それらを含めると結構ボリュームがあります。

 ウイングガンダムの1/144シリーズは、低学年向けで低価格という制約があったため、現在のキットと比べるとかなり見劣りする部分が多いですが、このウイングガンダムゼロに関しては、意外と基本部分はしっかりしているので、若干の修正を行えば見栄えはかなり向上すると思います。当たり外れの激しい当時の1/144キットの中では、当たりの部類に入るのではないかと。