ザクデザートタイプのパーツ写真。大き目のランナーが二枚で、びっしりと隙間無くパーツが配置されています。
パーツ数は、ファースト時のキットに比べるとかなり多く、良く500円で収まったという内容。
MSVシリーズのキットは設定的にはミリタリー色の強い物でしたが、実はキット内容は今ひとつ芳しくなくて、モールドも甘くて当時購入した時は
かなり失望した記憶があります。
前作ザブングルシリーズ並の精密なモールドのキットを期待したのですが、精密さという点でははるかに後退していたのが事実です。もっとも、
現在のバンダイキットでもザブングルシリーズを超えている物は無いのですが。
しかし、その芳しくないキット群の中にあって、異彩を放っていたのがこのザクデザートタイプで。
だるいモールドのキットが多かった初期MSVの中では例外的にシャープなモールドで、かっちりとした角の線が気持ちい。ランドセルの放熱フィン
などのモールドはウォーカーマシンのキットを思わせる緻密さです。
MSVの初期発売キットの中では、このデザートザクとプロトタイプドムが飛びぬけてレベルの高い内容でした。
パーツを組んだ状態。
1983年のキットにしては、妙にスマートでカッコいいのが分かります。足が細くて長い。肩幅が広めで腕が太いのは他のMSVキットと同様ですが、これはこれで力強さがあって悪くない。足首の形状がなかなかいい感じ。
現代の目から見ると甘く感じる部分もありますが、かっちりとしたモールドは昔のガンプラらしからぬすっきり感があります。
可動についてもこのキットは他のMSVキットと違っていて、膝部分に回転軸があるため、この時期のキットとしてはめずらしくガニマタポーズが可能です。両足首の向きをハの字に向けられるので、設定画のポーズが無改造で可能なのは意外と大きい。
肩部分は旧ザクから引き継ぐ前後スイング構造があるので、マシンガンを自然に両腕で構える事も可能。この辺の可動は、ポリキャップこそ無いものの、初期のHGUCキットとあまり変わりません。
腰に装備されたグレネードラックの開閉ギミック。
付属する武器類を集めた所。なかなかおまけも多くて、その点でも楽しめるキットです。
オプションで選択できるダブルタイプのアンテナ。頭部形状は独特の解釈で、元のザクとはかなり異なっていますが、大河原テイストが強い面白い形状。
長所ばかり書くのは何なので、欠点も。手のひらの裏側はご覧の通り大胆すぎる軽め穴がぽっかりと。MSVキットでは良くある仕様。
あと、部品のはめ合わせなどはやっぱり昔のキットなので、お世辞にも良くは無いです。細かいバリも多いので、丁寧な成形が必要。
同時期のMSVザク・マインレーヤーとの比較。上半身は似たような感じですが、足のスマートさが目立ちます。
今度はHGUCザクとの比較。
なんと、HGUC版より足が長かったり。その分ちょっと腰高になっていますが、胴体のボリュームがあるのであまり貧弱な印象はありません。
デザートザクは胴体がやや上下に押しつぶされている感じですが、腰を伸ばすとオーバースケールになってしまうので、難しい所です。
頭部のサイズは、やっぱり昔のキットの方がしっくり来ますね。
個人的には、当時からMSVシリーズでは一番気に入っていたキットで、現在見直しても考えは変わりませんでした。
今の目で見ると、やや肩幅の広さが気になりますが、これはこれで味かと。
もう一度じっくり完成させてみたい名キットの一つと言えます。