バンダイ HGUC 1/144 ジムV 仮組みレビュー            トップページに戻る

バンダイ 1/144 HGUC ジムV 定価 1575円  

 本キットは2011年発売のニューキット。
 2010〜2011年はやたらとGM系のモビルスーツがHGUCで発売されていて、GMってこんなに種類があったのかと思うほど。0080などのOVA版で
GMバリエーションが大量増殖し、最近だとユニコーンガンダムの劇中でジェガン系がかなり増やされた様です。
 ただ、TV本編シリーズに登場したGM系バリエーションキットとしては、このGMVが久々のキット化と言えます。

 GMVが登場したのはZZガンダムの劇中ですが、正直記憶はまったく無くて、、、、。放映当時はZZガンダムはどうにも乗らず、途中からあまり
見ていなかったのです。どうも見逃した回にちらりと登場していたらしいですが、特にアニメを見直す気力も無く、、、。ZZ後半の超能力バトルは
どーにも苦手で。

 GM系バリエーションでもかなりマイナーな部類に入るGMVですが、ユニコーンガンダムのアニメ劇中に登場した事によって、今回のキット化と
なった様です。



 HGUCジムVのパーツ写真。オプションパーツが多いためランナー枚数は結構ありますが、本体そのものは、近年のHGUCの中ではシンプルな分割で
部品数は少なめです。ABSは未使用。カメラアイはGM系キット恒例のクリアパーツ。
ホイルシールの他に、マーキング用の透明フィルムのシールが付属。



 パーツを組んでみた状態。
 肩と腰にミサイルポッドを装備すると、GMしからぬ重厚なシルエットに。デザイン的なまとまりはともかく、かなり豪華でそれなりに強そう。
 肩のミサイルポッドの射出ハッチ部分は、開状態と閉状態が選べるコンパチ式になっています。
 しかし、このミサイルポッドはちょっと巨大すぎて、ポーズを取らせるとあちこち干渉してしまうのが難点。元のデザインがそういう問題を
抱えているのでやむを得ないんですけどね。



 重そうなミサイルポッドを取り外した状態。設定画では、この状態がGMVの基本形の様です。ガンダムMKUと同形状のランドセルが目立つ。
 ただ、 ミサイルポッドを外してしまうと、今度は今ひとつ違和感のある体型になってしまいます。これは脛だけに余計なパーツが付いてバランスが悪いのと、
脛部分がちょっと長すぎるため。


 最新のキットらしく可動には力が入っていて、特に腕はよく動きます。肩の付け根が前後にスイングするので、ビームライフルの両手持ちも楽々。



 ビームサーベルの刃はちゃんとクリアパーツが付いているので、ご覧の通り豪華な二刀流も可能。GMらしからぬ雄姿。

 武器関係で気になるのは、ビームライフルがやたらとオーバーサイズで、しかも造形が大雑把な事。
 近年のガンプラは武器のサイズが全体的に大きすぎるしモールドも意外に甘め。武器類は1980年代のキットの方が出来が良かったりする事もしばし。

 腰のミサイルポッドを外して、肩の方だけを装備した状態。
 この装備にした時が、いちばん見た目のバランスはいいみたいです。
 



 毎回恒例のHGUCジムとの比較ですが、今回は同じフレームを使用しているという設定の両機なので、少し詳しく比較してみます。

 まず、両者を並べてみると、プロポーションがまったく異なっているのが一目瞭然です。基本は同一機体の筈なのに、キットは完全に別機。
GMVの方が足が長くて腰高で、その分胴体と頭部が一回り小さくなっている。重心が安定しているジムに比べて、腰の位置が高すぎて
安定性が悪そう。
 足が非常に長くて腰の位置が上に来るのは最近のバンダイキットに全体的に見られる傾向ですが、素立ちポーズの際の安定感が悪く、
ひょろっとしてひ弱に見えるので、個人的にはあまり好きではないですね。

 


 次に、胴体部分を比較してみます。
 旧作のHGUCジムの胴体は、コクピットブロックが前に張り出したメリハリのある形状で、立体的にも見栄えがします。
一方、GMVの方は妙に平らで貧弱な感じ。面構成も、ジムは意外に複雑な曲面で構成されていて良いカタチをしていますが、GMVは
全体的に平面的で雑。
 モールドのシャープさは新作のGMVの方が上ですが、造形の細かい気配りは圧倒的に十年前のジムの方が勝っていると思います。

 あと、細かい部分で気になったのは、サイドスカートとフロント、リアスカートの間がガバッと空いてしまう部分。
RGザクなんかでもスカートの可動部分に隙間が目立って見苦しいですが、最近のガンプラはこの辺の処理がちょっと雑です。

 あと、最近のGM系列のキットに多い難点ですが、膝関節を真っ直ぐにした時に、完全な直線で止まってしまい、逆側に曲がる遊びが
まったく無い。
 人間の足は、ぴしっと延ばした時にやや足が逆側に反ってS字形になるのですが、それが最近のキットでは再現できない訳です。
 設定画では、ザクもガンダムも足は綺麗なS字を描いているし、GMVの設定画もそうなってるのですが、キットではそのポーズが
取れないのは意外と大きな難点だと思います。
 

 HGUCのGMVは、全体的には良くできたキットで評価も高いですが、個人的にはけっこう気になった部分が多かったので、
あえてその部分を辛めにレビューしてみました。
 最近のバンダイスタンダードの、足が長く腰高になるプロポーションの取り方は、立体的にはちょっと安定性に欠けると思うので、
もう少し胴体が大きい安定感のあるスタイルの方がいいかなあ。
 特に、初代ガンダムのラインを引き継ぐGMVだと、こういうプロポーションの取り方は違和感が大きい。

 あと、こういうプロポーションが流行っているのは、ホビージャパンなどの模型誌で、ひたすら足ばかり延長する作例を掲載し続けていた
というのも大きいかと。あれは正直害悪だと思うので、少し控えてほしい所ですね。